低温焙煎解説f45 焙煎機本体の保有熱を調整する

これまで「保有熱の調整」について、外気温や室温、生豆の温度変化などをお話してきました。

今回は、低温焙煎における重要な準備作業、

についてお話しします。

低温焙煎では、

させることを基本としています。

しかし、本当に重要なのはここからです。

焙煎の熱量について少し考えてみましょう。

ところが、鉄の塊である焙煎機では違います。

焙煎は、

この両方によって進行します。

そして実際には、

と私は考えています。

例えるなら、冷却不足の焙煎窯は

と同じです。

熱くなり過ぎたフライパンでは、食材の表面だけが先に焼けてしまいます。

コーヒー豆も同じです。

火力だけに頼った焙煎は、

豆の表面を焼くだけの焙煎になりやすく、

一方で、窯の蓄熱を上手く利用した焙煎は、

まるで

ような状態になります。

熱がゆっくりと芯まで届き、

ふっくらとした煎り上がりになります。

ただし、保有熱は多過ぎても少な過ぎてもいけません。

大切なのは、

を作ることです。

そのための準備作業が、

なのです。

低温焙煎では、火力は主役ではありません。

火力は、

という考え方をしています。

私の経験では、

科学的な証明があるわけではありません。

しかし44年間焙煎を続けてきた中で、この考え方が最も無理なく、安定した結果につながっています。

ここまでのお話で、

なぜ低温焙煎が「生豆の繊維質を解す工程」を重視しているのか、

少しご理解いただけたでしょうか。

そのためには、

のです。

それでは、実際の調整方法をご紹介します。

まず窯を80℃まで冷まします。

バーナーを全開で3秒だけ点火し、

温度を83℃まで上げます。

温度計が81℃になったら、

最初は1分以上かかります。

80℃になったら再び83℃まで上げる。

この工程を数回繰り返します。

すると、

1℃降下する時間が徐々に短くなってきます。

まで短くなれば、

窯の過熱が落ち着き、保有熱の調整はほぼ完了です。

ただし、外気温や湿度、気圧などの影響で微妙な差は生じます。

そのため最終的には、

実際の焙煎の進み方を見ながら微調整します。

「意外とアナログだな」

と思われたかもしれません。

しかしこれは、

温度計が示す80℃は、あくまで表面温度の目安です。

つまり、

もし、この工程を省略して単純に80℃になっただけで焙煎を始めるとどうなるでしょうか。

同じ火力でも、

その後の温度上昇はどんどん速くなります。

焙煎時間も短くなり、

結果として

そんな焙煎になりやすいのです。

ここまで読まれて、

「本当にそんなことがあるのだろうか」

と思われた方もおられるかもしれません。

実は私自身も、若い頃は強い火力で短時間焙煎をしていました。

その失敗を数え切れないほど繰り返しました。

そして試行錯誤の末に辿り着いたのが、

今の

という焙煎スタイルです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回は、

について解説していきます。