『焙煎時の室温は20〜30℃が適正、20℃以下は熱量不足・30℃以上は熱量オーバー』

私が長年の焙煎経験の中でたどり着いた結論のひとつがあります。
それは――
「安定した焙煎を行うためには、焙煎室の室温を20〜30℃の範囲に保つこと」
という決め事です。
焙煎は、四季による外気温の変化に大きく左右される、とても繊細な作業です。
同じ温度設定、同じ火力で焙煎していても、
- 室温が20℃を下回ると「熱量不足」
- 室温が30℃を超えると「熱量オーバー」
になりやすい傾向があります。
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私も焙煎を始めた頃は、外気温などほとんど気にしていませんでした。
ドアを開けたまま焙煎していたこともありますが、それなりに焙煎はできていたと思います。
しかし、季節や天候によって味が微妙に変わる。
その原因が分からず、長い間悩み続けました。
そこで外気温に注目し始めたのです。

最初はバーナーの火力調整で対応していました。
ところが、どうも納得のいく結果になりません。
試行錯誤を重ねる中で見えてきたのが、
- 焙煎機本体に蓄えられた熱量
- 室温に含まれる熱量
- 生豆そのものの温度
この3つの存在でした。
44年の焙煎経験から生まれた
フクモト珈琲の低温焙煎

そして私は、それらを個別ではなく、
「保有熱」
という一つの概念で捉えるようになりました。
その結果、ひとつの仮説にたどり着きます。
焙煎は火力だけで行われているのではない。
「焙煎機と周囲の環境に蓄えられた熱の総量」
によって進行しているのではないか――。
これが、私の考える「保有熱」の基本です。
保有熱調整の第一歩は、
「焙煎室の室温を20〜30℃に保つこと」
です。
近年の猛暑では、クーラーをフル稼働させても30℃以下を維持するのが難しい日があります。
そんな時は、比較的涼しい午前中に焙煎を終えるのも有効な方法です。
それだけでも焙煎のブレはかなり減少します。
また、空調を効かせていても換気扇は必ず回し、室内に一定の空気の流れを作ることも大切です。
この点については、後日「排気」の話の中で詳しく触れたいと思います。

反対に、冬場の室温が20℃を下回る環境では暖房が必要になります。
単純に火力だけを強くして補おうとすると、豆の表面ばかりが先に煎れ、芯まで熱が届きません。
結果として、未熟さの残る焙煎になってしまいます。
そこで私が行っているのが、
焙煎機の周囲3か所にファンヒーターを設置する方法です。
焙煎機の足元の温度が20℃以上になるよう調整しています。
足元を基準にするのは、上部の温度がさらに2〜3℃高くなるためです。
部屋全体をゆっくり温め、
まるで焙煎機を**「熱の布団」**で包み込むような環境を作ります。
そうすることで、無理なく熱量不足を補うことができるのです。
この対策を行うだけでも、焙煎の進行は驚くほど変わります。
吹きさらしの寒い環境では、どうしても熱量不足となり、未熟な味が残りやすくなります。

ここまで読まれて、どのように感じられたでしょうか。
おそらく、
「室温がそこまで影響するの?」
と思われる方も多いかもしれません。
実は私自身も、この結論にたどり着くまで数え切れないほど失敗を重ねてきました。
しかし原因が見えてくると、季節による焙煎のブレにも対応できるようになったのです。
もし焙煎をされている方がおられましたら、
ぜひ一度、外気温や室温を意識しながら焙煎してみてください。
これまで見えていなかった変化や気づきが、きっと見えてくると思います。
次回は、この「保有熱」の中でも特に重要な
『焙煎機本体の保有熱』
について詳しくお話ししたいと思います。☕✨
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