浅煎・荒挽きコーヒーとの出会い (パート6)
ようやく達人の焙煎を間近で見れる好機が訪れました。
焙煎補助という役柄ですが、社長のH氏が焙煎をされる時に、次に焙煎するコーヒー生豆を規定量計量して準備したり、
煎り上がったコーヒー豆を攪拌して冷ました後に、容器に入れて整理したりとか、いわゆる雑用です。
ですが、手の空いている時はH氏の焙煎している姿を間近で見ることができる好位置なのです。
何度で生豆を投下して、何度で点火したか・・・
火力の強さはどの程度か、どのタイミングで火力調整や他の調整をしたのかとか・・・・
見える事全てが、貴重な生のデーターなのです。
でも、今一番記憶に残っているのは焙煎をされている時の焙煎職人(あえて職人と呼ばせてもらいます)と
しての真摯な姿勢と心意気でしょうか。
その時は何とも思いませんでしたが、時を経てあの時のH氏と同い年ぐらいになった今、
改めて良い勉強をさせて頂いたと感謝したい気持ちになります。
師匠(マスター)が"本物を見ることの大切さ"を説かれていたことが、時を経て痛いほど判るようになってきました。
その当時は、師匠(マスター)の店でも焙煎機を持っていませんでした。
懇意にしている焙煎業者さんに頼んで、オーダー焙煎をして頂いておりました。
でも、それもいま考えるとオーダー焙煎されたコーヒー豆を全て購入するわけではないので、残ったコーヒー豆の
処分に苦労されていたのではないかと思います。
こちらは自分が納得できるコーヒーを作りたくて、「あーだこーだ」と焙煎の仕方に注文を付けますが、それが全て上手く行く訳ではありません。
時に浅くて渋かったり、煎りすぎて苦かったりと失敗作もしょっちゅうです。
後日そのことを聞いても、笑って答えられませんでしたが、よき協力者に恵まれていたと思います。
早速に、私が見聞きした焙煎の生データーをもとに、オーダー焙煎をしてもらいました。
結果は、今までとは全くタイプの違う味わいに見事に変化していました。
でも、全てが同じと言う訳ではないのです。
『似て非なるもの』と言う言葉がありますが、雰囲気は似ているのですが同じような味わいとは言えないのです。
何かが足りない・・・・6割から7割ぐらいの完成度と言えばよいでしょうか。
まずくはないけれど、胸を張って美味しいとは言いにくいのです。
悪戦苦闘・試行錯誤の長い日々が始まりました・・・・
次回につづく・・・
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