浅煎・荒挽きコーヒーとの出会い (パート5)
ようやく念願がかなって、「コーヒーの焙煎について勉強できるぞ」と言う熱い思いでコーヒー店に勤め始めました。
しかし、何の世界でもそうでしょうが、昨日今日入りたての新人に、手とり足取りして教えてくれるようなことはありません。
授業料を払って習いに行く料理教室ではないのですから、当たり前のことです。
先輩のバーテンについて仕事を補助したり食器洗いをしたりの毎日です。
そして、先輩のバーテンが布ドリップでコーヒーを淹れる作業を横目で見る毎日でした。
そのころ私は、布ドリップの淹れ方については、マスターから多少の手ほどきを受けていましたので、私の方がもっと美味しく淹れられると言ううぬぼれも多少ありました。
今思えば、若気の至りと言うか、「俺が 俺が」と言う感じだったのでしょう。
若い時と言うのはこんなものなのでしょう。
自分の未熟さを知りもせずに『身の程知らず』もいい所です。
そんなモンモンとした日々の勤めが3ケ月ほど続いたある日、チャンスは突然にやってきました。
社長のH氏が焙煎をする時には、焙煎補助と言って、コーヒー生豆を計量したり、焙煎された豆を容器に入れて整理したりとかの補助をする係りが一人つくようになっていました。
しかし、先輩連中は気難しいH氏の側に付くことを嫌って、焙煎補助の係りを敬遠していたのです。
そこで、新人の私にその役どころが回ってくることになったのです。
まさに、私にとっては渡りに船のようなお話です。
進んでその役どころを引き受けるようになりました。
焙煎名人の作業を間近で見ることができるのですから、これ以上のベストポジションはありません。
先輩方は喜んで、私にその役回りを譲ってくれるようになりました。
さー、ようやく焙煎修行の始まりです。
次回につづく・・・
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