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焙煎について
たかが珈琲、されど珈琲

私は、かれこれ40数年以上コーヒーと関わりを持つ仕事をしてきました。とは言っても、主にコーヒーの焙煎や抽出という限られた仕事の中で体験してきたことが全てで、コーヒー全般から見ればほんの一部の事を理解してきただけにすぎません。

なので、いまでも珈琲については解らない事のほうが山ほどあります。
"たかが珈琲"ではありますが、突き詰めていけば実に奥の深いものです。
だから、私にとっては
"されど珈琲"という永遠のテーマなのです。

この章では、コーヒーの焙煎について書いていますが、それほどに奥の深いコーヒーなの
で、私の方法だけが唯一正しいと言うことではありません。

『全く違う方法があっても不思議ではない』と言うそのことをご理解頂いた上で、一つの
方法論としてお読み頂ければ幸いです。

私の拙い経験談ではありますが、コーヒーの焙煎とはどのようなものかを、できる限り判りやすく書いたつもりです。

コーヒーの琥珀色の液体の中に、どんなドラマが隠されているのかを少しでもご理解頂け
ましたら、毎日のコーヒータイムが、また一味違うものになるのでは
ないかと思って
います。


▼焙煎とは、火力の魔術で創り出す味の芸術 ?!

珈琲の焙煎とは一言で言えば 『火力の魔術で創り出す味の芸術』では
ないかと思っています。

おおよそ自家焙煎店でコーヒーの美味しさを売りにする店であれば、良質の生豆を選別して焙煎し鮮度の新しい豆を販売すると言うのは至極あたりまえの事だと思います。

そして、丁寧な仕事をする店であれば、欠点豆があれば丹念にハンドピックして取り除くという事も至極あたりまえの作業だと思います。
それでもお店によってコーヒーの味が違い、美味しさの程度も違うのはなぜでしょう?

それは焙煎方法が違うからです。
それほどに焙煎と言うのは、コーヒーの味の良し悪しを左右する重要な
要素なのです。

同じ銘柄のコーヒーでも、どのような煎り方(火力の与え方)をしたかによって、変幻自在の味に変化します。

焙煎の度数(浅煎・中煎・深煎)を少し変えるだけても味わいが違ってきます。焙煎機のタイプ(直下・熱風・遠赤・炭火etc)の違いによっても、味わいの違う珈琲になります。

例えて言えば何人かの料理人さんが、同じ材料を使って料理を創ったとしても出来上がりの料理は人によって味付け・盛り付け・料理内容自体が違ってきます。

しかし、その料理人さんの一つのスタイルというのが、全体を通して見るとハッキリと表現されているのではないでしょうか。

ファッションデザイナーの方が、同じ素材を使っても自分独自のスタイルと感性で、全く違うファッションを創り出すのと同じです。

珈琲の焙煎というのも、それと同じなのです。

では、良質の珈琲豆とは、どのように焙煎された豆を言うのでしょうか?それは、豆の芯からしっりと煎られていて、豆の成分(味)がバランスよくシッカリと引き出されている珈琲豆をさします。

ところが、従来一般的に行われてきた焙煎方法では、この豆の芯からしっかり煎りきると言うことが、特に浅煎のマイルドコーヒーではたいへん難しい事と思われてきました。

当店の焙煎スタイルは一言で言えば、浅煎コーヒーの旨み(まったりとしたコク)を味の基本にした焙煎と言えます。

深煎の焙煎においても、味の骨格には浅煎の旨みをしっかりと残しつつ、深煎の焙煎に仕上げています。

コーヒーは深く煎れば煎るほど旨みの成分を無くす(飛ばす)ことになりますが、低温焙煎の深煎は、旨み成分を逃がすことなく、味わい深い味に煎りあがっています。

低温焙煎は、生豆の繊維を低温で十分に解きほぐして、生豆の水分を適度に抜き去る事によって豆を芯から煎りきると言うことを可能にしていますので、高温の焙煎とは全く違う『完熟したまろやかな美味しさ』を造りだします。

低温で焙煎されたコーヒーは、高温で焙煎されたコーヒーよりも糖度が高いので、甘味があり、まろやかな酸味・まろやかな苦味という味わいになります。


▼低温の焙煎と高温の焙煎は、どう違うのか?

焙煎と言うのは、ご存知のようにコーヒーの生豆を焙煎機で煎る事によって、コーヒー生豆に含まれる旨み成分を熱変化させて、コーヒー独特の味わいに作り替える作業です。

この時、焙煎過程において優しい火力で比較的低温で煎りあげた豆と、強い火力で比較的高温で煎りあげた豆とでは全くタイプが違う味わいの珈琲になります。
(仮にAタイプ・Bタイプと呼びます)

このAタイプとBタイプの異なる珈琲の味わいの接点に、位置するように焙煎された時の珈琲が最初に述べた『コクが有るのに、キレが有る』と言う味の珈琲になるのです。

また、焙煎されたコーヒー豆の形状も、低温と高温では見た目にも異なる形状の豆になります。

下記の写真は、高温で焙煎されたコーヒー豆(D社)と低温で焙煎されたコーヒー豆(当店のコーヒー豆)とを判りやすいように比較したものです。

※サンプルとして、『パプア・ニューギニア』のコーヒー豆で比較しています。また、判りやすいように焙煎による違いがハッキリとしているコーヒー豆を、 選別して並べていますので、実際はもう少しいろいろな形状の豆が混ざっている事をご理解願います。



●左の写真は、パプア・ニューギニアの生豆の腹の面です。

シルバースキンのセンターラインの部分に注目して下さい。
●左の写真は、D社の高温で焙煎されたコーヒー豆です。

1.豆の形状は、上の生豆の形状とあまり違わない。

2.センターの溝の部分は、それほど広がっていない。
●左の写真は、当店の低温焙煎のコーヒー豆です。

1.豆の形状は、D社の豆と比べてみると良く膨らんでいる。

2.センターの溝の部分が、良く広がっている。
●左の写真は、パプア・ニューギニアの生豆の背中の面です。
●左の写真は、D社の高温で焙煎されたコーヒー豆です。

豆の表面のシワが、あまり伸びていない。
豆の形状も生豆の形に近い。
●左の写真は、当店の低温焙煎のコーヒー豆です。

豆の表面のシワの、伸びている部分と伸びていない部分のコントラストがハッキリしている。

一見すれば同じように見えるコーヒー豆ですが、よく観察してみると豆の形状に大きな違いの有る事がご理解頂けたでしょうか?
上記のコーヒー豆は、豆の色合いで見る限りは、D社のコーヒー豆の方が焙煎度数(煎り具合)が深いように見えます。
しかし、コーヒーを淹れて飲んでみると、D社の豆の方が浅煎にあがっています。
挽いた豆の色も浅煎りの色合いですし、噛み砕いても、歯がたたないぐらいに硬いです。
では、豆の色合いは、同じように見えるのに、何故そのような違いが出てくるのでしょうか?


●低温と高温では、豆の水分の抜け方が違います。

焙煎とは、生豆に熱量を与える事によって、生豆に含まれている成分を旨味の成分に変化させる訳ですが同時に焙くと言う事は、含まれている成分を抜き去る(飛ばしてしまう)という事にもなります。

つまり、コーヒー豆は深く煎る程、苦みの味は増しますが、豆の成分(大部分はカフェイン)は少なくなります。
浅煎りの豆の方が、実は含まれているコーヒーの成分は多いのです。
※この事は、コーヒーが冷めても引き締まった味になって、最後まで美味しく飲める味のコーヒーと、冷めてしまうと、急激に味の低下をもたらすコーヒーとの違いに、関係してきます。

だったら、コーヒーは”浅煎りにすれば全て美味しいのか?”とは、言えません。
豆の芯から、しっかりと煎りあげて、生の味を残さず(生の味が残ると、渋味やエグ味として感じる)に浅煎りに煎りあげられた時のコーヒーだけが、まろやかで芳醇な味わいのコーヒーとなれるのです。

そのように焙煎する為には、生豆の水分を焙煎の初期の段階で、上手く抜き去る事が重要に成ってきます。
低温焙煎の特徴は、まさにこの段階でのでき次第にかかっていると言ってもいいでしょう。

 焙煎機の保有熱・外気温の状態・排気弁の位置・投下温度など、それらの全ての条件をトータルで把握したうえ、生豆がゆっくりとふやけて内部に含まれた水分が上手く抜けやすい状態に煎りあげて行きます。
※生豆の繊維質がほぐれていることで豆も膨れやすい。

それに対して、高温で焙煎された時の豆は、生豆の繊維がほぐれる前に、豆の表面が焙かれるために、豆の表面に膜ができた状態と言いますか、生豆の水分は内部に封じ込められたような形になります。

※豆が膨れにくく、生豆の形に近い形状に出来上がる原因の一つ。

その為、高温での焙煎は、コーヒーをある程度深く煎り込まなければ、豆の芯まで煎れない(生の味が取りきれない)と言う結果になりやすいのです。

大変簡単な説明でしたが、低温と高温での焙煎の違いが、少しはご理解頂けたでしょうか?



最後に、ポイントを整理してみます。

1.表面にツヤのある、珈琲色の豆。

2.コーヒー豆のシルバースキンの溝の部分が、広がっている。

3.豆の表面のシワが、部分的に良く伸びている。

4.コーヒー豆が、丸みのある膨らみ方をしている。

5.噛んでみると、豆の芯までカリッとして噛み砕ける。

 (芯が残る時は、煎り切れていない。)

以上が、美味しい珈琲豆の見分け方のポイントです。

一見同じように見えるコーヒー豆ですが、コーヒー豆を良く観察してみるとそれぞれに違う表情があることに気がつかれると思いますよ。



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